不条理

TASPOを入手していないことで喫煙回数が減るかと思った。しかし、実際には対面販売の店を探して街中を歩き回ることになった。具体的に手に入れる店は、コンビニ、煙草店、キヨスクがある。駅のキヨスクは一番手に入れやすい。毎日必ず利用するからだ。
職場の喫煙所も数が減らされ、最近は非常に込み合う。壁には禁煙を呼びかけるポスターが貼られている。吸わない人からは「肺がんになる可能性が吸わない人に対して大きい。それなのにどうして吸うの?死にたいの?周りに迷惑掛けてるのがわからないの?臭い。服まで臭い。今タバコ吸ってきたでしょ。やめろよ。」などと言われる。自分でも何故吸い続けるのか良くはわかっていない。*1それでも喫煙所へ頻繁に行く。
最近、増えた喫煙所の住人に多くの女性達が居る。他のフロアからやってきているのだ。そこで繰り広げられる会話は、嫌でも耳にはいる。
「最近ね、豊麗線が出てきて嫌になる。目尻のシワも気になるのよ。」
「そうよね。良くポニーテールしたらシワが無くなるっていうよね。」
「そうね。でも、ポニーテールして顔を引っ張るのはいいけど、生え際が後退するらしいよ。」
「えー!!どうしよう。どうすればいいんだろう!」
密閉された混んだ部屋の中で、煙がモクモクとしているなか、良く通る声で悲哀を語りあっている。でも同居せざるを得ない。不条理を感じるが、そもそも不条理を良く感じる毎日をおくっているので、「そんな悩みもあるんだ。」程度にしか思わない。

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

難解かと思われるかもしれないが、表現が平易で読み易い。20世紀の世界的大傑作と評されるが、何がそこまで凄いのかわからない。ただ、主人公の行為に自分の行動が近いと感じることが多い。
なかでも印象的だったのは、嘘とは事実そのものを変えることであるが、事実そのものに勝手に加えたり引いたりすることも嘘であるということだ。例えば、「朝起きて歯磨きをした。」に対し、「朝起きて上あごの歯を磨いた。」は話が違う。前者が事実だとすれば、後者は部分的なことを表現しているが、全てを述べていないため、ここでは嘘だ。本書は哲学的な書物であり、実存主義について良くわかってないと理解できないのかもしれない。それでも、哲学的知識無しでも是非とも一読されることをお勧めする。

*1:タバコはなぜやめられないか、以前の日記を参照