異食

そもそも仕事でこの言葉にであった。異食とは何か。異なった食事のことか。調べてみると、栄養価が無いものを口にすることらしい。
例えば目の前の鉛筆、皿、砂、石。異食症と呼ばれるもので、生活機能評価の指標に用いられる。自分の無知を棚にあげて言うと、このようなことが実際にあるとは驚きだ。食事は生活の基本であるにもかかわらず、手を出してしまうことに、生存の危うさを感じる。
日ごろから食事は大量に採る。身体に悪いことを知っていながら、腹10分まで食べる。しかし、あくまでも栄養価のあるものを対象としている。
「砂をかむように味気ない」と言うが、砂を噛むことは大変なことだ。この表現を受け容れるには、相応しい状態に出会った事がなくては分からないのではないか。ややともすると飽食になるほどのこの世の中で、逆に食事を十分にとれないことの危うさを感じる。

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前から気にはなっていたので、観てしまった。「観てしまった」というのは、余りにも有名な作品だからだ。原作は読んだことがなく、あらすじのみ知っていた。映画では母、息子、父の人物描写が深い。特に母はすばらしい。本作は、少し前とは異なる現代の家族の風景を描いたものだ。一生の最後は住み慣れたところでというのは幻想かもしれない。母に取って代わる立場に、息子がなった場合を考える。若年者世代は、強く問われている。