食逃げ?(初編)

そもそも、こんな機会に巡り合うとは思わなかった。と書くと、何か面白そうなことでも在ったのかと思われるかもしれない。食逃げに遭遇したのだ。
先週末に牛丼屋で早い昼食をとろうと、店に入った。注文のためにメニューをとってふと斜め前を見ると店のカウンター越しに、カウンターの中の店員を見る男がいた。男は色付レンズの眼鏡をかけ、ビニール製のポンチョを羽織、もう食事が済んだようで荷物をまとめているようだった。そう、彼はみせの窓際にある満員時の客を座らせる椅子に、自分の荷物を置いて突っ立っていたのだ。
(次回に続く)

経済データの読み方 新版 (岩波新書)

経済データの読み方 新版 (岩波新書)

まず、ことわっておかなくてはならない。写真は最近刷新された新版だが、読んだのは1985年に発刊された旧版(黄色版)だ。戦後から1985年までの日本経済の動きを2回のオイルショックを中心に経済データの読み方として解説している。著者があとがきに記すとおり、本書は技能的な「データの読み方」の説明に終始するのではなく、当時の政策(財政政策、金融政策等)について批評を加えている。これが本書の特徴だ。経済にはさまざまな視点がある。たとえば、財政、金融、国民生活、物価、労働や貿易が挙げられる。本書では、これらのデータについて主に時系列のデータ分析を行っている。また、部分的に国際比較や、同様の目的で計測され出所の異なる資料の比較が行われている。批評が少し過ぎるところもあるが、読み手には面白い。とりわけケインズ経済学の終焉としてサプライサイド経済学の登場を取り上げているところなど、その表現が面白い。一方で、読者は少なくともマクロ経済学の知識が無ければ理解が難しいところがある。スタグフレーション、クラウディングアウトなど、長いカタカナ言葉は説明が加えられているが、難しさは言葉ではなく、生き物のような経済全体の動きの説明にある。新版は最近発刊されたばかりだ。期待して読みたい。