助走無し

1月2日の午後に新幹線で京都から東京まで。指定席は満席なので数本やり過ごすことも考えたが、早く東京に帰りたいのでのぞみの自由席へ。案の定座れなかった。名古屋で空くかと思ったがさらに混んだ。午後の東海道を地上最速の新幹線で駆け抜ける。何度この光景をみたことだろうか。浜松付近に差し掛かると太平洋が見える。景色もそうだが、Uターンの車内は通路に立つ人や家族連れなどでごったがえす。仲良く向かい合って撮った写真に一緒にみいる家族もあれば3列シートに親子3人で無言で着席している風景もある。窓際に母、真ん中に疲れてぐったりとした男の子。通路側の席にぐったりとした父。母はつんとした感じだが、前列のうるさい客に顔をしかめている。前列は20代前半のアイシャドーを濃くした女性ふたりに、10代の少年。窓際に座った少年と真ん中の席のややほっそりとした女性が大声で任天堂DSの対戦をしている。時折、この女性が吸う煙草の煙が後席にながれる度に、母親は自分の膝に膝枕した息子に煙がかからないようにハンカチで空気を仰ぐ。「ざけんな、うぜー」と大声をあげる全席の女性。この喫煙車の乗客みんなが驚いたように、この女性の方を観る。ゲームをしているなんてわからないだろうから、何事かということだろう。通路に立っている人々は本を読むなり外をみるなり、壁によりかかったりしている。新幹線は三島を通過する。何度かトンネルを過ぎれば次は熱海だ。東京発の在来線の終着駅が熱海であることもあるから、そろそろ首都圏が近いと感じる。暇だから三島から一連のトンネルが終わる小田原までトンネルの数を数えたら18程度あった。新横浜に到着してからは、すぐに品川、そして東京。降りる用意は新横浜を過ぎたあたりから本格的になる。ぐっすり寝れた人は目をこすりながら、お菓子を食い散らかした人はそのあとしまつ。ずっと立っていた人はいままでと違う姿勢になる。正月ほど短期間に大勢の人が日本を移動することはないかもしれない。非日常であるけど日常がもちこまれざるを得ない。2時間超の同居とともに様々な生活の在り様を見た。他人の起伏のある生活が魅力的に見えたりする。

DESIRE

DESIRE

1976年の作品で、個人的に聴いたBob Dylanの作品の中では現時点で最も新しい。力強く繰り返し良く聴いている。メロディーも美しく、「歌っている」ように思える。推薦。