負けるな。

駅を降りて徒歩で帰宅する途中だった。繁華街を抜けようと足早に歩き始めたとき、後ろから、耳元に近いところで、地を這うような男の声がした。
「負けるな」
少し歩いて振り向いたら、どうも客引きのようだった。
繰り返し響き渡るこの言葉に、感銘を受けた。なぜか。よくわからない。