中国において検閲されるチベット姫に関する報道

チベット姫(Princess Yabshi Pan Rinzinwangmo)はチベット仏教の象徴であるパッチェン・ラマ10世(10th Panchen Lama)の娘だ。チベットにおけるその人気は非常に高く、パッチェン・ラマ11世の人気を凌ぐほどだ。中国当局は、彼女に関する報道に検閲をかけているが、このたび、その一部がロイターにより報道された。彼女のインタビューについて、報道されるところは怪しいところが多く、「私は愛国者である」とか、父親の投獄に関する発言が無いなど、およそ疑わしいといわれている。男系社会だと個人的に思っていたチベット文化のなかで、このような人物がいるとは思わなかった。
一方で、中国は多民族国家であることから、政府当局が個々の民族の動静に細心の注意を払っているため、報道に検閲が存在し、事実が正しく報道されていないのではないかと思われるふしがある。報道は非常に大切であり、社会のあり方を問う上で、素直な浄化作用を発揮することがある。事実を曲げて報道させているならば、透明性を伴わない政府機能に、その強さを疑わざるを得ない。一方で、自由主義経済が進むにつれて、人権擁護や透明な報道が、より一層支持されることになると思われる。逆にこの報道が目立つのは流れに逆行しているからかもしれない。

http://i.today.reuters.com/misc/genImage.aspx?uri=2006-09-01T062609Z_01_PEK17657_RTRUKOP_2_PICTURE0.jpg&resize=full
チベット姫とその父。