餃子事件について

冷凍食品に端を発した殺虫剤入り餃子の事件は、世の中に対して食の安全自体に注意を喚起させることとなった。生産・製造・流通・小売に至る過程のどこに問題があったのかを把握しようと、当局は必死になっている。
殺虫剤入り餃子の発生は、それを口にした人、また関係する人々にとって、恐怖だ。このようなものを口にすることが断じてあってはならない。そのために、なぜ発生したかを突き詰めることが望まれる。さらに、重要なことはこれらのものが消費者に行き届く状況の改善が必要である。しかし、起こりえる脅威が何であるかが分からなければ、「考えられる全て」を検査項目にあげなければならない。たとえそうしたところで、これに要する費用は莫大になり、費用の一部は商品に転嫁されるだろう。考えられること全てに対してチェックするのではなく、今回の事件の原因を突き詰め、その内容をチェックに反映させることが現実路線だ。しかし、この方法では、今後発生し得る事件に対して、事後的なチェック項目の拡充となることが避けられない。
より安全に対処するには方法は消費者本人に判断が委ねられると考える。より安全なものを口にしたいなら、生産・製造・流通・小売の特定された高額なものを購入するなどの対処を取る方法が挙げられる。また、加工品ではなく、より原材料に近いものを購入する方法がある。レタスや大根といった「消費者の肉眼でそのものであることが認識できるもの」を購入することで、製造から小売に至る加工が単純なものとなり、加工度の高いものに比べ、消費者が多くを認識できるからだ。
国や自治体が定めるであろうチェックに全てを任せることなく、安全なものを自力でチェックすることが望まれる。食の安全に対する脅威は、国・場所・人を問わず発生する可能性がある。最終的に判断し、口にするのは消費者である。食の安全を考えるにあたり、食品にどういうものがあるのか、どのようにつくられているのかという、基本的な情報に注意を向ける姿勢が求められている。

これからの高齢者医療―団塊の世代が老いるとき

これからの高齢者医療―団塊の世代が老いるとき

高齢者医療と財源(社会保障費の国際比較)、在宅医療の費用効果分析、長野県の一人当たり老人医療費が何故全国で一番低いかなど、様々な観点から高齢者医療についてかかれている。副題にもあるとおり団塊の世代が65歳を迎える2015年にどのようになっていなければならないかを示唆するものだ。最新の高齢者医療制度については出版年の関係上記載は無いが、データや現場に基づく知見は現在これを呼んでもブレていない。高齢者医療がどうなっていくのかを知りたいかたには大局的な観点から捕らえることを支援する良著だ。個人的には、合計特殊出生率が日本、ドイツ、イタリアは下がっているのに、アメリカ・イギリス・フランスが上がっていることに興味があった。