食逃げ?(完結編)

転院は男が戻ってくるのを確かめると、店内にもどってきた。少し遅れて男がもどってきた。男は自転車を店の出入り口の1つ目のドアと2つ目のドアの間に止めた。のそのそと2つ目のドアを開けてレジの前にたった。
「まだ、お会計がお済みでないので、お願いします。○○○円です。」
「○○○円ね、払うの忘れてたよ。すこし待ってね。」
男は少し大きい外套のポケットへ無造作に手をつっこんで小銭を探していた。ようやく見つけたらしく、店員に差出した。定員はレジ打ちをはじめる。すると突然カウンターに座っている別の客をめがけてどなった。
「なにみてんだよ。じろじろみるなよ、おっさん。」
怒鳴られた方は、怒鳴った男より若いと思うのだが。。店内に響き渡る声だった。定員は何もなかったかのようにおつりを出す。
そうかといううちに自分も食事を終えたので、2台あるレジのもう片方に向かう。支払いを済ませ先に店を出る。店の外の灰皿があるあたりで一服をした。
すると男が自転車を押して店を出てきた。小雨が降る中で傘を開けて進もうとしていた。すると後から出てきた親子ずれのお母さんが、
「おじさん、自転車のサドル無いけど大丈夫なの?」
「大丈夫だよー。大丈夫だよー。」
すると男はサドルに力を入れてすごいスピードでヨタヨタしながら自転車を進める。片手に傘を持ち、サドルが無いのであるから当然だ。40mぐらい行ったところで、自転車を降りるのが見えた。何とか体制を立て直し、またこぎ始めた。ぐんぐんを店を遠ざかっていった。(終わり)